身近な肺炎クラミジア

(1996年5月23日 高知新聞)

川崎医大呼吸器内科の岸本寿男講師らは中学校や幼稚園での肺炎クラミジア感染症の集団発生を詳しく解析し、感染実体を明らかにした。潜伏期間は3〜4週間と比較的長く、咳などの飛沫によって友人や家族の間でゆっくり広がり小流行をくりかえす。咳が長引いて風邪が抜けきらなければ肺炎クラミジアを疑う必要がある。川崎医大のグループは、入院患者の調査で、気管支喘息悪化の7%にこの最近が関与していることや、動脈硬化の病変部の一部に感染細胞があることも見つけている。治療には特定の抗生物質が有効だが診断が難しい。岸本講師らは血清診断法の開発治験を行っている。

O-Ring Test クラミジアには、一般に広く用いられている抗生物質であるβ-ラクタム薬やアミノ配糖体薬は無効であり、診断が重要になります。クラミジアは 0.2 〜 1.5 μmの球菌状で、偏性細胞内寄生性で、人工培地には増殖しないため細菌学的診断が難しいのです。血清診断では時間がかかる上、まだ肺炎クラミジア Chlamydia pneumoniae の検査は一般には行われていません。トラコーマ・クラミジア Chlamydia trachomatis《用語》はトラコーマや、性病の原因となります。オウム病クラミジア Chlamydia psittaci《用語》はオウム・インコ・ドバトなどの排泄物を吸入する事により感染し、オウム病と呼ばれる肺炎を起こします。
しかし鳥を飼っていないにも関わらず、喘息・喘息様の気管支炎・空咳の続く人などで、オーリングテスト診察によって、しばしば オウム病クラミジア Chlamydia psittaci のプレパラートに共鳴現象による存在反応を認める場合があります。この場合、トラコーマ・クラミジア Chlamydia trachomatis にも少し共鳴反応を示すことから、筆者は肺炎クラミジア Chlamydia pneumoniae の感染で、クラミジアの共通成分のため交差共鳴を起こしているものと考えています。最近、川崎医大呼吸器内科の岸本寿男講師のご厚意により、肺炎クラミジア Chlamydia pneumoniae の標本を作製して調べさせていただきましたが、やはり他のクラミジアと軽度の共鳴反応が見られることが確認できました。
肺炎クラミジア Chlamydia pneumoniae 感染が疑われた人をオーリングテストで的確に治療すると、喘息などの症状が治っていきます。通常クラミジア感染症にはテトラサイクリン薬が第1選択薬ですが、オーリングテストの結果から、ニューマクロライド薬(ルリッド・クラリス・クラリシッドなど)を用い好結果を得ています。クラミジアを消滅させるのには比較的長期間(4〜8週)服薬を続ける必要がありますが、筆者は漢方薬の併用でその期間を半減させています。オーリングテストで適合する漢方薬を選択しますが、柴胡剤(柴朴湯など)に麦門冬湯を併用するとよく適合するようです。軽症の場合は、漢方薬だけでクラミジアが消失することもよくみられます。

1996年05月24日 掲載
2008年06月02日 更新
山本重明